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或る酒飲み的西中島バルの夕べ

10/08(土)、10/09(日)の2日に渡って開催された第1回西中島バル
前売り3000円で700円×5枚のチケットを購入すれば、チケット1枚で参加飲食店自慢のフード+ワンドリンク(じゃないところもあるけど)をふるまってもらえるという太っ腹企画。さらにチケットが残っちゃっても10月末までは金券として使える(一部の店除く)という安心仕様。
これは会社近くで使える店を一気に増やすチャンス! かなり前からそわそわウズウズしていた。

初日8日は私用で行けず、明けて9日。
休日仕事を早めに切り上げての午後3時過ぎ、いそいそと出陣。持ち弾は5発、というか5枚。原則としてBARと名がついた店を巡ることに。

●1軒目 Dinning&Bar BRARIN

路地裏の2階にあるダイニングバー。看板を路面に出してなかったら素通りしていた。そもそもこの催しがなかったら知ることさえなかっただろうお店。
テーブル席も多い広目の店内、やや暗めの照明でテレビあり。ちょっと装飾に統一感がないけど、もしかしたら居抜きかなあというのが第一印象。客の姿はなし。
忙しそうに下準備しているマスター(とおぼしき方)に「西中島バルのチケットはイケますか?」と言ったところ「当日券ですか?」と返される。いやいやそうじゃなく…と説明してからカウンター席へ。この辺りこっちが慣れてなさすぎ。
フードは10品程度から3品を選べる太っ腹仕様。海老とアボカドのコブサラダ、煮込みハンバーグ、自家製がんもどきをチョイス。ビールは一軒目なのでとりあえず生ビール……を選んだものの、すぐに失敗に気づく。ビールでは料理が出るまで間が保たない。さりとて追加オーダーしちゃったら俺の西中島バルはここで終わると思い、心を鬼にして粘る。
料理は3種味見モードで少しずつなれど、ワンプレートとして充分なボリューム。自家製がんもどきが特に美味しかった。
帰り際に、普段は若い人が多そうですねと聞いたところ、意外にそうでもなくて一人で食事するサラリーマンも多いとのこと。たしかに居酒屋使い、食事使いともにできそう。お店自体は開店1年ほどで、やっぱり前の店をそのまま居抜きしたとのことで納得。お忙しそうな雰囲気であまり話せなかったのが心残り。

■スコッチ好きから見たバックバーメモ
8~10種類程度。有名どころ+島物がちらほら。とりたてて「おっ」と思うものはないものの、ダイニングバーとしてはモルトもちゃんと飲めていいよね、という感じ。


●2軒目 Asian Dinning Salon Ritz Bar

阪急南方駅近く、SEGAのゲーセンが入ったビルの5F。ここも存在さえ知らなかった。
ちょっとアジアンテイストが入った小綺麗な内装、カウンター脇のエスプレッソマシン。カフェバー的な感じ……だけれども、大スクリーンで阪神戦を流しているのは大阪的お約束。
バルメニューは三種盛りで生春巻きベトナム風、鶏唐揚げ、明太子とブロッコリーのピザの三種をチョイス、飲み物は前回反省を踏まえ白ワインをチョイス。
カウンターに客が一人だけだったのもあって、お姉さんがよく話し相手をしてくれた。やっぱり西中島バルは好感触とのこと。他のお店の話もいろいろ仕入れることができた。あと、「Ritzでアジア風なんですね」と素朴な疑問を言ったら、笑ってはぐらかされてしまった。すみません。
料理はちゃんとしたレストランメニューという感じ。特にピザが美味しかった。ワインがもうちょっといいやつだとさらに合うかなーと思ったけれど、フード込み700円なら高望みというもの。普段のグラスワインは同じなんだろうか? 店員さん曰く「生のお魚もおいしいですよ~」、でも日本酒は『ある時はある』という感じらしいから、やっぱり白ワイン頼みになりそう。
思わず会計をしそうになりつつ、照れ挨拶して店を辞す。エレベーターまできっちり見送ってもらったのも流石。酒メインより食事+お酒という使い方をしたいお店。女の子連れなら尚可。もしくはちょっと酒飲みモードから離れてのんびりしたい時に使えそう。

■スコッチ好きから見たバックバーメモ
鉄板銘柄が6種類程度。恐らくあまり頼む人はいなさそうな雰囲気。すみっこにスプリングバンクの旧壜があったけど、あれはオールドボトルじゃなくて、置いといたら古くなっちゃったのかなーと思った。

後日再訪したところ、バックバーのボトル配置が替わっていてモルトは鉄板8種類程度、アードベッグもフツーにあった。また、スタンドエビスと掛け持ち?(非常駐?)のお兄さんがバランタインFのハイボールをいい感じに作ってくれて、これならバー使いには全然問題なしと印象を新たにした。店員さんのホスピタリティーも変わらず良し。夜の部のまったりカウンター常連さん(焼酎で肴をつついているような)の雰囲気に合えばまさにいい隠れ家になりそう。お薦め。 


●3軒目 Bar GARUDA

グルメシティ南方店の地下、食堂街にあるダーツバー。
前から気になってはいたものの、ダーツをやらない身としては敷居が高く、今回初来店。
カウンターに陣取ると、酒を何にするかと訊かれたので逆にアテを聞く。バケットに玉子とブルーチーズのハチミツ和え。いい感じなれどスコッチ系は角縛りとのこと。結局白ワインに。
こちらも店内は外から想像するより広い。前出Ritz Barの店員さん情報によれば、2軒あった店をブチ抜いたとのことで、なるほどと思う。ただし店の半分はダーツスペース。マシンは2台。盾やトロフィーがそこら中にあって、本格的に競技志向な感じ。
ワインはチリ産で、フルーティーでなかなか美味しい。どこか他でも見たラベルだけど失念。もちろんアテにもバッチリ合う。量は少ないけれど、1、2軒目ががっつりおかずだったのでちょうどいい。お店は基本年中無休(ダーツの競技会時除く)で、午後6時から午前5時までやっているそうで、場所柄も込みで使い勝手はよさそう。
店を辞してちょうど午後5時。4軒目に行くはずの店が午後6時からなので、ちょっと反則技を使うことに決定。

■スコッチ好きから見たバックバーメモ
6~8種類程度。置いてあるものはほぼ鉄板なれど、アードベッグがあったし、モルト好きの常連さんに注文されている雰囲気はある。ダーツの賞金とおぼしきのし袋が飾ってあって、隅のボトルが見えない。バランタイン12年?


●4軒目 BAR PLUS

地下鉄御堂筋線新大阪駅の南口から少し歩いたところにある小さなバー。そもそもは喫茶店だったのを、1年ほど前から別スタッフで夜のバータイムを始めた。西中島バルの極北ナンバー2。

客のないこぢんまりしたカウンター、いつもと変わらぬマスターにいつもと変わらず迎えられる。失礼ながら6時までのツナギなのでチケットを使うかどうか迷ったものの、やっぱり使うことに。プロセスチーズと鴨の自家製スモーク+ギネス。不味いはずはないっていうか、何度食べてるかわからない。いつもならギネスをチェイサーにモルトを頼むところなれど自制、超頑張って自制。
昨日(土曜日)の様子を聞くと、バルのお客さんはもちろん、大人数のお客さんまで来ててんやわんやだったとのこと。善き哉。こちらも3軒目までをスパイよろしく暫定報告。西中島バル、お店にも客にもなかなかいい感じ。
だらだらしていたらカウンターも込み始め、気がつけば午後6時1分前。マスターに「お勤めにいってまいります」と言い残し店を出る。返った言葉は当然、「行ってらっしゃいませ」。

■スコッチ好きから見たバックバーメモ
変態的。そもそもバックバーじゃなくてフロントバー(カウンターの上にボトルが並んでいる)。キルホーマンとかイチローズモルトMWRとかボトラーズのボウモア樽違いとかの中に、ロイヤルハウスホールドとかバランタイン30年とかがしれっと混ざっている。何の罠だ。ジャパニーズを含めて全部で30本程度常備してるっぽいけど、鉄板から飛道具まで陣容がバラバラで飽きない。


●5軒目 イタリアン居酒屋 FREELY

実は今回いちばん行きたかった店。場所はBAR PLUSのさらに裏。知ってはいてもなかなか行けない店。そこらじゅうに置いてある(そしてよく風に飛ばされている)看板だけは見たことあるけど……という人多数(涼元調べ)。ある意味西中島ナンバー1の秘境店。
1番乗りで入店(PLUSから歩いて30秒なので当たり前)。シェフのイケメンお兄さんとハキハキした女性の二人体制。カウンターの奥目に案内される。
アテは3種のブルスケッタ。バケットにガーリックの利いたクリームチーズ、マッシュポテト、ラタトゥイユ(野菜煮込み)を乗せたもの。飲み物は白ワイン……と頼んでおいて、フェイントで赤に変更。さすがに飽きてきたので。ざっと見渡すと、カウンター上にマーカーで直接値が書いた(バールのお約束作法)ビール壜がずらり。これは楽しめそう。
お姐さんがいい感じに相手をしてくれる。PLUSから来た旨を話し、ひとしきり盛り上がる。料理は飾らないイタリア風で、まずかろうはずもない。ワインがワイングラスでなくDURALEXっぽいフツーのコップに入ってきたのも、雰囲気と取ればまあアリか
そろそろ酒も食べ物も尽きるという時、絶妙なタイミングで「なにかお飲み物は?」と聞いてもらえた。待ってましたとばかりにビール軍団の中からクロンバッハを召還、さらにヒスイナスのレモン風味を追加。これが洋梨のコンポートを食べているようで大変に美味だった。
…結局1時間ほど居着いてしまった。次はぜひ本式に居酒屋使いをしてみたい。

■スコッチ好きから見たバックバーメモ
スコッチとおぼしきもので視認できたのはジョニ黒のみ。(泣)
まあ、ここではビールかワインを飲めってこと。

後日再訪。グラスに関してはバルの時が特別だったようで、フツーにワイングラスで供され一安心。イケメンお兄さんがかなり饒舌で楽しかった。アボカドのホットサンドを頼んだところ、「今日のアボカドは今ひとつなのでお出しできない」と断られた。あからさまにダメダメなアボカドを平気で出してくるところもあるのに、その意気や大変良し。場所柄キツいお店なれど、微力ながら応援したいと思う。


●6軒目 BAR PLUS 
※註:ここからは通常飲み

マスターに「ただ今帰りました」と挨拶し、何事もなかったかのようにカウンターに収まる。仕上げにサッパリしたものが飲みたいので、「フレッシュライムにミスティアとトニックウォーター使ってさっぱりめのやつ」とオーダー。これだけ縛ったところにブルーキュラソーを加え、キレイに出してくるのが流石。アテにはいつものカシューナッツのスモーク(美味)。そして反省会モードに。
西中島バル自体はとてもいい感じだったし、お店も個性があってよかった。気にはなっているけどなかなか行けないお店に行くことができたし、何よりバルのこと自体を話題に、一見客でも店員さんと気軽に会話できるのが素晴らしいと思った。600円ポッキリで店の雰囲気や料理の方向性を気軽に探れる、これは本当にありがたい。
その反面、こんな短時間の滞在でさえ、自覚なく常連風を吹かせまくっている、気の利かない常連さんと同席しちゃうと、それだけで店の印象が悪くなっちゃうんだなあと思った。自分はそんな常連と見られてないだろうかと自省しつつ仕上げの2杯目、イチローズモルトMWRをロックで。モルトはストレート派なれど、この酒は氷と馴染ませる方が美味いと思うし、PLUSはそもそも氷自体が美味い。さらに洋梨に蔵王クリームチーズを乗せたものをいただく。
バルのお客さんと常連さんが入り乱れて、お店がいい感じに回り始めた。これから出かけるという常連さんたちの楽しそうな相談を傍で聞いたり、はじめてこの店に来た酒飲みさんと一時の四方山話を楽しみながら、ちょっと物足りないというところで上がり。
そのまま電車に乗るのがもったいなくて、酔い覚ましに江坂まで小一時間歩いた。
東三国で別の某BARに引き寄せられたものの、誘惑を振り切れたのはオトナの証拠。

……そんなこんなで西中島バル、大変楽しい催しだった。
そりゃもうぜひとも2回目希望。次は6丁目7丁目界隈のお店が増えたらいいなあ…



ひとつだけ蛇足気味苦言:公式サイトがいただけないと思った。どこに何が書いてあるかがわかりにくい、お店の一覧性が低い、メニューページ からは店名のコピペができない、MAPのページで地図が閲覧できないなど、???な仕様が。古い携帯電話のWebブラウザだと表示さえできなかったりするし、facebookよりフツーにサイトを組んだ方がよかったのでは?

青木繁展と先斗町アトランティス

7月2日。
午後から阪急で京都へ。
河原町駅から地上に出たとたん、むっと重く湿った風に包まれた。
京都特有の空気と相まって、梅雨の谷底を泳いでいるよう。
鴨川沿いから祇園を抜けて、京都国立近代美術館まで歩いた。今年二度目の訪問。前回のパウル・クレー展の展示形態が性に合わなかったので、そのリベンジも兼ねて。
今回の目当ては青木繁展
二〇世紀初頭の日本画壇に颯爽と現れ、野心家の天才と呼ばれ、若くして夭逝した画家。
多くはない作品の中、見てみたかったのはふたつ。

まずは『わだつみのいろこの宮』。
入場した正面に誇らしげに飾ってあった。
第一印象、思っていたより大きい。
『整った絵』だと思った。
構図といい、色合いといい、人物といい、ディティールといい、雰囲気といい、抜群の完成度、素晴らしい出来であることは一目でわかる。
ただ…
綺麗なモデルさんに神話のワンシーンを演じてもらい、それを完璧に絵に落とし込んだ、という感じで、どこか印象が上滑りしていく。それでも惹きつけられるものはあるけれど、それはたぶん画家の技量や矜持や理想にであって……少なくとも、この絵そのものの『物語』や『世界』に魅力を感じているわけじゃないんだなあなどと思ってしまう。それでも30分ぐらいは見惚れてしまったのは事実。

そしてもうひとつの目当て、『海の幸』。
入ってすぐの展示室に、こちらも何の衒いもなく展示されていた。
最初の印象は、『わだつみのいろこの宮』と真逆。 つまり、「これ、こんなに小さかったのか……」
大きさは知っていたはずなのに、壁画のように大きな絵だと勝手に思っていた。
でも、描かれた主題は『大きな絵』と呼ぶにふさわしい。

巨大な鮫を肩に担いで、浜辺を誇らしげに行進していく、赤銅色に焼けた裸の漁師たち。 痩せた狼のような肉体、画面を斜めに分断する銛の穂先。
とにかく鮮烈。一度見たら二度と忘れないインパクト。
存分に見惚れまくってから、仔細を眺めだすと、おやっと思う。
どう見ても未完成。
絵の左半分と右半分でタッチが違う。漁師たちの顔も、きちんと描き込まれている者と、適当にぼやかしてある者のギャップが激しい。オマケに志村けんのバカ殿様みたいな、不自然に白くてひょっとこ顔の、あからさまに漁師じゃないのがいちばん目立つところに混じっていたりする。鮫も生物学的になんかヘンな気がする。
要はツッコミどころ満載。でも、この絵がちゃんと『完成』していたら、見る者にこれほどのインパクトをもたらしただろうか。
粗雑や遊びさえもがインパクトに、そして武器になっている。むう……

『わだつみのいろこの宮』と『海の幸』、どちらが『神話的』か? そう訊かれれば、全く迷いなく『海の幸』と答える。聖書とか日本書紀とかの、所詮人が造った神という創作を超越した、はだかの人間の営みが最初から持っている神性、確かにそれを感じられた。
結局、こちらも30分ほど立ちつくして眺めてしまった。
満足。
でも、主題そのもので完成度を凌駕できるという実例を目の当たりにした思いで、ちょっと複雑でもあった。

その後、常設展を一通り鑑賞して、美術館を辞す。
空には晴れ間も現れ、太陽が傾いたせいもあってか多少はすごしやすくなった。
いつも通り知恩院から円山公園、八坂、二寧坂、五条大橋と散策、満を持して先斗町に突入。
本日三つ目の本命、バーアトランティス

夏期は川床で洋酒が飲めるという、大変に希有なオーセンティックバー。
場所柄もあってか観光客が多く、正直ちょっとお高い店なれど、その分をちゃんと酒の味とホスピタリティにかけてくれている良い店。モルトも各種ありカクテルもなかなかレベルが高い。
勢いあまって開店3分前に着いてしまい、店の前でちょっと待ってから入店。若い店長さんに迎えていただく。せいぜい2ヶ月に1度程度、大阪からやってくる客のことをちゃんと覚えてくれていて、ちょっと嬉しい。
いちばん端の、鴨川に面した特等席に座り、まずは生ビールから。ピルスナーグラスに注がれたプレミアムモルツ、このロケーションで不味かろうはずもなく、2分で飲み干す。

ギネスとフィッシュアンドチップス@先斗町アトランティス

お次はギネスとフィッシュアンドチップス。二種類の魚とふっくらした衣でボリュームたっぷり。空きっ腹には嬉しい。鴨川名物等間隔カップル配置を眺めつつ、こっちはひたすら腹ごしらえとアルコール摂取に精を出す。河原を通っていく人の「あそこバーになってる!」という驚きの声が聞こえ、ちょっぴり優越感。まあ、俺の手柄じゃないけれど。

三杯目、いつもならいい感じに温まったギネスをチェイサーにモルトを頼むところ、今日はオリジナルカクテルの先斗町クーラーを所望。ほどよく甘めの炭酸が心地良い。

マスカットリキュールのトニック割り@先斗町アトランティス

さらにもう一杯、ボトルが目についたマスカットリキュールの飲み方を訊いたところ、リキュール自体の完成度が高いからということで、シンプルにトニックウォーターで割ってもらった。たっぷり絞ったレモンの効用か思ったほど甘くベタつかず、これも飲みやすい。

〆にモヒート、夏の屋外なら鉄板の味。
滞在1時間半で五杯、いい感じに出来上がった。
ここで会計してもらい、薄暮に賑わう先斗町通りを河原町駅までのんびりと歩いた。
海の画家である青木繁作品を愛でた後、アトランティスで飲むってのは、ちょっと出来過ぎだったなあと思いつつ。

涼元版:はじめてクロスバイクを買うなら

日曜日、大雨の午前中。
だらだらと書きものしていたら、しばらく疎遠だった知り合いから電話あり。
「クロスバイクを買って通勤とかツーリングとかしたいけど、どういうのを買ったらいいかよくわからない」とのこと。

趣味は女と車いじりで、自転車なんぞに凝っているようなネクラな輩はハナから相手にしていなかった彼の口から『クロスバイク』なぞというステキ単語を聞くことになるとはと、深い感慨を覚える。まあなんで今さら自転車かというと、某峠でついに愛車(アホのようにいじったR34)をお釈迦にした挙げ句、最近導入した嫁さんから排気量661cc以上の車禁止令を出されてしまったからだそうだが、その辺りの事情に関してはリア充乙という感想しか持ち得ない。

こちとらMTB黎明期から、中学入学祝いに買ってもらった6段変速セミドロップハンドルのチャリから泥よけからなにから全部取っ払ったやつで近所の公園に乗り入れてコケまくり、その後ようやくMTB(カワムラニシキマウント646)を買ってもらって日本平や船越公園でコケまくり、ケルビムでフルオーダーした軽量MTBで竜爪山や小鹿の裏山でコケまくり(中略)いつしか自転車屋でバイトしつつスポーク1本から自転車1台組めるまでに(今は無理)なった男。そして今まさにクロスバイクで通勤している男。付け加えるなら独身男。

そういうことならと、思う存分ねっとりみっちりアドバイスをしていたら、気がついたら夕方に。
教えたがりの悪癖も手伝い、情報量が多すぎてきっと頭に入ってないだろうなあと思ったので、ここにテキスト化することにした。
もしもこれからクロスバイクを…と思っている方がいたら、参考にしていただければ幸い。まあ、かなり極端なことも言ってるので話半分で。

 

●おすすめクロスバイクは?
・まずは予算。スポーツバイク初体験でも最低5万円出したい。安物も自転車として使えるけど、「蟹もカニカマも食べられるから同じ」ではない。スポーツバイクにおいては、5万円がカニカマから(一応本物の)蟹になるラインだと思う。

・逆に上限は10万円程度。それより高くてもまだ価値はわからないだろうし、タイヤやホイールが華奢(そのかわり軽量)だから乗るのにある程度のコツがいる。

・自転車本体とは別に付属品でプラス1万円、ヘタをしたら2万円ぐらい必要かも。むしろこっちをケチるべきじゃない。

・ブランドとか部品のグレードとかフレームやフロントフォークの材質とか色々あるけど、どれも大して変わらないので、色や見た目で好きなのを選べばいい。部品なんて後からいくらでも替えられるし、なんならフレーム自体も替えられる。

・でもひとつだけ忠告すると、クロスバイクにサスペンションは不要。特に5~10万円クラスについているような安物サスはデメリットの方が大きい。段差や砂利道がどうしても気になるなら、タイヤを太いのに交換する方がナンボか効果的。

・できるだけ近所で、スポーツバイクの店頭在庫が普通にあって、できれば盗難保険に入れる店(サイクルベースあさひとか)で買うべし。大阪在住ならなおさら。

●最初に必要な装備
・サイクリンググラブ(手袋)は絶対必需品。夏場なら指切グラブ、冬場なら防寒グラブを自転車と一緒に買う。そして乗る時は必ずつける。

・フロントギヤにチェーンガードがないなら、ズボンの裾まとめ(バンド)も必要。

・カギは1メートル以上あるワイヤー錠が必須。駐輪時は必ず(必ず!)固定物にくくりつける(アースロックする)こと。 たとえ安物でも、愛着ある自転車が盗まれれば精神的ダメージがでかい。

・エアゲージ付ポンプ(空気入れ)も必要。スポーツバイクは空気圧管理で快適さが違う。

・パーツ(チェーン)クリーナー、チェーングリス、潤滑油の三点は必ず揃える。自転車屋で専用品を買うのではなく、ホームセンターで大缶の安物を買ってまめに注油する。質より頻度。

・きちんと乗りこなして週末ツーリングに行くようになれば、携帯用空気入れ、パンク修理セット、最低限の工具も欲しくなるはず。

●オプションパーツについて
・道路法規上ベル(とリフレクターとライト)がなければ公道を(夜間)走れない。ベルとリフレクターは通常自転車についている。ライトは別売りなので予算に計上する。

・泥よけを最初につけてしまうと、恐らく一生街乗りだけで終わる。泥よけを買う予算があったら、いちばん安いサイクルコンピュータをつけるのがお薦め。スピードや積算距離が出るので走るのが楽しくなる。雨の日は…乗らない覚悟をする。

・雨の日も自転車通勤するので泥よけをつけるなら、必ず自転車用の雨具も買うこと。傘をさして乗ろうなんてバカなことは考えない。

・できればスタンドもつけない方がいい。不便そうだけど慣れればどうにでもなる。通勤事情でどうしてもという場合はまあ仕方ない。

・荷台も要らない。荷物はデイパックに詰めて担ぐ。そしてデイパックにはまめにファブリーズする。

●乗る前に交換したい部品
・まず、シートポストバインダーがクイック(レバーを緩めるとサドルが上げ下げできる)だったら、アレンキー(六角レンチ)で固定するタイプのバインダーに交換する。クロスバイクでは一度サドル高を決めたら動かさないので、サドル盗難のイタズラ防止が優先。

・同じく、ホイールがクイックレバーで固定されていたらアレンキー締めのホイールスキュワーに交換する。これも盗難防止。

・次にペダルをチェック。両面対称じゃない安物ペダルは乗りにくいだけで何のメリットもないので、乗り出す前に両面対称のペダルに交換推奨。(トークリップをつける場合はそのままでもいいが、どのみち壊れるのを覚悟しておくこと)

・シートポストサスペンションがついていたら、乗り出す前に普通のシートピラーに交換。そこは伸び縮みしてはいけない場所。プロならミリ単位でポジション出しをするところが、乗ってる最中びよびよ動いていたら話にならない。

・リヤスプロケットがメガレンジ(ローギヤだけ不自然に大きい。超激坂用秘密兵器的なノリなんだろうけど使わないと断言できる)だったら、クロスレシオ(11T-28T)のスプロケットに交換がお薦め。適切なギヤ比が選択しやすいので、シフトチェンジを積極的にするようになるし、走っていて疲れない。(早めに替えた方がチェーンと馴染みを出しやすいので、予算に余裕があれば乗る前に交換推奨)

●乗り始め
・【最重要】スポーツバイクでは爪先が地面に届かないのが当たり前。信号待ちなどの停車時は、サドルに腰掛けたまま止まらない。腰をサドルから前にずらして、両足を地面に着く。発進時はペダルを踏み込みながら腰を戻す。

・サドルの高さは、ペダルに踵を置いて膝が軽く伸びるぐらい。「高すぎるかな?」と思うぐらいがちょうどいい。漕ぐ時は踵でなく足の前半分をペダルに置く。

・最初はシートポストバインダー用のアレンキーをポケットに入れておき、5kmおきぐらいにサドルの高さをこまめに調整してみる。慣れると5mmで明らかに足の回る感じが違うのがわかる。自転車に乗る時の靴を決めておくとなおわかりやすい。

・サドルにどかっと座るのではなく、サドルとペダルとハンドルで体重を三分割して支えるイメージ。婦人車とは別の乗り物だと心得るべし。

・最初は尻や腰や手のひらや腕が痛くなったり、普段使わないところが筋肉痛になったりするが、気に病む必要なし。我慢して1ヶ月も乗れば、必要な筋肉が自ずと鍛えられる。

・ブレーキは人差し指と中指の二本だけでじわっと握る。四本指でぎゅっとかけると効きすぎてかえって危ない。比率はフロント7割リヤ3割。必ず車体が立った状態でブレーキングし、それからコーナーに侵入すること。

・積極的にシフトチェンジする癖をつける。特に、停車する前にはギヤを落とす。どのぐらい落とすかはすぐにわかる。発進したらすぐに加速しながら3~4段シフトアップし、巡航に使うギヤにできるだけ早く持っていく。この辺はレーシングカーと同じ。「レバーをガチャガチャするなんてガキっぽいし」とか思って横着するな。

・段差を超える時はスピードを充分落とし、サドルから腰を上げる。その状態で、腰から下でショックを吸収することを心がける。スキーのモーグルみたいな感じ。これもやれば慣れる。

・ギヤが入りにくかったりブレーキの握りしろが増えたり、ホイールやヘッドにガタや振動を感じたらすぐに買ったお店に持ち込んで点検整備してもらう。乗り始めは部品の馴染みが出ていないので各所が緩みやすいし、ワイヤーの初期伸びが出るので調子が悪くなりやすい。ここでそのまま乗ってしまうと、調子が悪いまま定着してしまう。

●最初の100km
・100kmほど乗ってみて、それでも尻が痛くなるようならサドル交換を考える。柔らかかったり幅が広いものではなく、ロードレーサー用の定評あるサドルを奢る。ここは金をかけるべきところ。

・グリップも好みのものに替えていい。直接身体に触るパーツには凝るべき。

・それでも自転車が身体に合っていないと感じるならステム交換を考える。近め高めにすれば楽。ハンドルバーをライザー(上に曲がっているもの)にする手もある。ただし、ポジションが楽だからと言って効率よく走れるとは限らない。

・オフロードで乗る機会がなく、ハンドル幅が600mm以上あったら両端カットを考える。肩幅に合わせるのが基本。560mm~540mmぐらいがお薦め。工賃を出せば自転車屋でやってもらえる。

●最初の1000km
・最低1000km乗ったら、タイヤとチューブを軽量なものに交換することを考える。足回り(いわゆるバネ下)の軽量化は効果的だけど、乗り慣れないうちに細身のタイヤにするとパンクさせがち。

●さらにその後
・ディレーラー(変速機)、シフトレバー、ブレーキあたりは壊れたり消耗した時点で交換すれば充分。通勤や週末ツーリング程度では高級品も廉価版の部品も大して変わらない。ただし、グリップシフトは乗り慣れると明らかに枷になるので、ラピッドファイヤー系のレバーにする価値はあり。後から交換すると高くつくけど。

・乗り慣れればフロントサスペンション(特に安物)は確実に邪魔になるが、今さらリジッドフォークに替えるかは微妙なはず。まあその時点で後悔すべし。

・どうしてもホイールを替えたくなった時が、自転車ごと高級品にステップアップする時。

 

 

以上。
うちの通勤用自転車(こなもん号)もいじってやりたくなってきたなあ……

街角

ひさしぶりに、『美術品』を買った。

新聞の片隅、小さな白黒写真で見て一目惚れし、販売を兼ねた個展に足を運んだ。当然一点ものだろうし、自信作だからこその掲載であって…まあ売約済みを見られるだけでもと思いつつガラスドアを開けて入ると、既に買われてしまったらしいいくつかの空きスペースに囲まれ、そこに蹲っていた。
逸る心を抑え、ギャラリーのスタッフに購入の旨を伝え、取るものもとりあえず引き取らせてもらった。

街角 百木一朗

『街角』 という作品。作者は百木一朗氏
信楽の素焼きで、土はこの色合いを出すために細やかにブレンドしてあると聞いた。

大きくはない。ちょうど掌に乗るぐらい。中庭部分が区切ってあってペン立ての機能も持たせてあるけれど、それはたぶんある種のアリバイだ。実用にするのは野暮だろう。振ってみるとカサカサと乾いた軽い音がする。「中の空洞に土の欠片が入ったまま焼き締めてしまったから失敗作なんです」と作家さんは笑っていたけれど、まるでだれかが現に暮らしているようで、むしろ好ましく感じた。

このところ傍らに置き、毎晩ためつすがめつしている。
濃い夕暮れを纏わせたような色とざっくりと削ったような風合い、異国の建築、見たはずはないのに懐かしい印象は、アンバランスに小さく、地面から高い窓のせいもあるだろう。あの頃、街の全てが高く、大きく見えた。誰もいない路地の突き当たりにはのっぺりとした壁が聳えて、迷い込んだ子供に『ここから先は別の世界』とぶっきらぼうに教えていた。

大きな煙突の脇、あの高窓には男の子が佇んでいる。彼は生まれてからからずっと、その部屋から出たことがない。窓から身を乗り出すよう見下ろせば、細い階段が地上へと続いている。でも、そこに行くまでの道筋はわからない。飛び降りることもできそうにない。それどころか、彼のその窓からは、彼の住む屋敷がどんな大きさで、どんな形をしているのかさえ、知りようがないのだ。

もうひとつの高窓には、女の子が住んでいる。
彼女も生まれてからずっと、その部屋以外を知らない。だからいつでも遠くを見つめている。はるかに煙る夕暮れの街々、波のような屋根の海に自分のこころを重ね、いつでも溜息をついている。

ほんの少し離れたところ、たった数枚の壁を隔てたところ、やがては手を取り合ってあの階段を目指す男の子/女の子がいることを、二人はまだ知らない…

そんなことを考えながら盃を傾けると、なかなかに酔える。
いい縁をもらい、買い物をした、と思う。

海炭市叙景感想

海炭市叙景
マイマイ新子探検隊4の折、縄田陽介氏に薦めていただいてからずっと気になっていた作品。
十三の第七藝術劇場でかかっているのを知り、会社帰りにレイトショーを鑑賞してきた。
ちなみに観客は自分を含めて2名ぽっきり。マイマイ新子やREDLINEの客入りなんてかわいいもんだなあと嘆息。それは兎も角。

季節は年の瀬、町の核だった造船業が衰え、ゆるやかに変わっていく北の町、海炭市に生きる人々の悲哀をオムニバス形式で描いた作品…みたいな紹介になるんだろうけど。

まず、特筆すべきは生活感のディティール。
労働者向けの長屋、平屋のあばら屋、団地、ガス工務店、ビジネスホテル、場末の酒場、一人暮しの一軒家、プラネタリウムの操作卓…色々な舞台が出てくるけれど、その全てが住み主が生きてきた軌跡を代弁するかのごとくモノに溢れ、あるいは寒々しい。箸二膳にをまとめて洗剤をつけて洗って、コップにさしておくとか、そういう描写も濃密で、全く見飽きなかった。
…けれど、映画全体が楽しいものであったかというと、また別の話。

普通、この手の話は、日々の暮らしで見落としているような小さな幸せや発見を掘り起こして見せるのが価値だけど、『海炭市叙景』の場合、そんな優しいことはしない。
なにせ、『悲喜』じゃなくて、本当に『悲哀』しかない。
しかもオブラートにくるむこともデフォルメすることもせず、恐ろしいほどに静かに、リアルに、客観的に、事実だけを映していく。叙景とはよく言ったものだと思う。人間ドラマを描いているようで、ドラマチックな要素がただの『出来事』に徹底的に還元されている。
だから、悲哀にこそ籠もっているはずの切なさや美しさも、目を皿にして自分から探していかない限り、ほんのわずかしか垣間見られない。
相対化して観られる人じゃないと、陰々滅々として帰るだけかもしれない。

以下、5編それぞれの印象を。(ネタバレなので、Ctrl+Aであぶり出し)

●造船所に勤める兄妹の話
進水式の辺りは純粋に手順が興味深い。
思わず船に並走しちゃう非プロな行動をもって、『船が全て』の台詞に説得力を持たせようってのは無理がありすぎるなあとか、スト決行のモブのチャチっぽさはもうちょっとなんとかならなかったのか、などと、ちょっと斜に見ていたら。
失職してから、閉塞感が増していく辺りが素晴らしい。
初日の出を見た帰り、山頂駅での別れからその後の展開はもう予想できる。予想できるけど…
ここらあたりは本当にゾクゾクした。
そしてジャストタイミングでタイトル。言うことなし。
正直、ここで映画が終わってたら大満足だったと思うぐらい。

●立ち退かないおばあさんの話
整理区画にある汚い平屋の家に住み、市場で手作りの漬け物を売る老婆の日常を、ただ淡々と映す。
生活感の墓場のようなおばあさんの家がいい。おばあさんの表情から来る説得力がいい。そして何より猫がいい。
この話も切りっぱなしの方が据わりがよくて、最後に来る決着はいらなかった気がする。まあ、好みの問題だけど。

●プラネタリウム勤務のお父さんと水商売のお母さんの話
プラネタリウムは出てくるものの、むしろプラネタリウム好きにはお薦めできない。
なにせ、『プラネタリウム勤務のお父さんと水商売のお母さんの話』でいの一番に想像されるだろうストーリーがド直球でそのまんま展開。『昔は純粋で幸せだった家族が今は…』なテーマが使い古されているだけに、類型的すぎてちょっと残念な出来。回想で締めちゃうのも前の造船所の話にカブってる上に、こっちはあまりに当たり前だし…

●浄水器を売りたいガス屋さんの話
この映画のキモになる話。
とにかく加瀬亮の演技が凄い。『こんな人いるよねー』感がハンパない。
魅力や共感ポイントはおろか、夢も希望も一切ない正真正銘の一般人の演技をここまで完璧にこなすというのは、細かすぎて伝わらないモノマネに通じる趣がある。(註:褒めてます)
でも、見ていて気持ちがいい話ではない。
でも見入ってしまう。

●路面電車の運転士と息子の話
この話だけは不幸度かなり低め…で済まない人もいるか。
場末の酒場感がムズムズするほどリアル。「…こっちは飲むだけって言ってんだから勝手にフルーツ盛り合わせを頼むな! しかもホステス三人分で三つ頼むな! そして盛大に食べ残すな!」的な。
泥酔して路上で身ぐるみ剥がされた男が、手に正月の獅子頭、胸に『海炭市叙景』と黒マジックで大書きして乱入、「ジェットコースタームービーしか興味ないアホ観客全員死ね!」とスクリーンから無人の客席に毒を吐きまくるという旧劇場版エヴァを意識したパロディーを考えてみましたがどうでしょう? ダメですか。そうですか。
あと、路面電車は美しいなあと思った。これはカメラの勝利。

最後に作り手視点でちょっと思ったことを。
作品全体が『抑えた技巧』で揃えられているわりに、ギラギラした作為がディティールから覗いている感じが気になった。敢えて木訥なカメラワークはもちろん、登場人物たちがほんの少しずつ関わりを持っているとか、時系列を敢えて前後させているとか。それ自体は「おっ」と思わせるけど、ドラマ的な必然性が希薄なので純粋な技術のプロモーションになってしまっているというか。それが原作由来なのかは未読なのでわからないのだけど。

映画に限れば、不特定多数のお客さんのためというより、一部のこういう映画を褒めたい好事家を狙って上手に作ってある印象は否めない。唐突な…というより、敢えて唐突にしてある暴力シーンも相まって、生理的に全否定する人も出るだろうに、そこは最初から無視している。
真摯な芸術指向と言えば聞こえはいいし、そういう姿勢が独特の雰囲気を醸しているのも事実だけど、表通りでの真っ向勝負を最初から避けている脆弱さは、この手の『芸術映画』では避けられないものなんだろうか。それは違うと信じさせてほしいけれど。

『映画的サービス』を徹底的に干しきって、その先を浮かびあがらせようとした映画なのかもしれない。正直、エンターテイメントとしては難がある。でも、時間の無駄だったとは思わないし、観終わった後の充足感もたしかにある。
今の自分にとって消化の難しい、色々と愛憎半ばする映画だった。
万人に等しくお勧めはできないけど、観る価値は確実にあると思う。
自分はといえば…たぶんもっと先に、濾過されたシーンのひとつひとつを脈絡なく思い出すことになるんだろう。
そして、それも『映画』の楽しみであるのは間違いのない事実。

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